統計的方法の基礎(正規分布・二項分布)の要点とひっかけ(QC検定3級 論点テキスト)
QC検定3級の手法分野のうち、「統計的方法の基礎(正規分布・二項分布)」にあたる3論点を、要点20本・ひっかけ13本・式6本にまとめました。
最終更新:2026年10月4日
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このページの論点
正規分布の性質
正規分布の形、二つの母数、±σの範囲に入る確率、使われる場面を扱う論点。68.3%・95.4%・99.7%がよく問われる。
要点
- 正規分布は、平均値を中心に左右対称な釣鐘型の分布である。
- 正規分布では、平均値・最頻値・中央値が一致する。
- 正規分布の形は、平均(中心位置)と標準偏差(広がり具合)の二つのパラメータで決まる。
- 平均値±1σに約68.3%、±2σに約95.4%、±3σに約99.7%のデータが含まれる。セットで覚える。
- 管理図の管理限界線が3σを基準にしているのは、±3σに約99.7%が含まれる性質を利用しているためである。
- 正規分布は、長さ・重さ・時間などの計量値のばらつきを表すモデルとしてよく使われる。
ひっかけ
- 不適合品の個数のような計数値には、正規分布でなく二項分布などを使うことが多い。
- 95.4%は±2σ、99.7%は±3σの値で、±1σの値は68.3%である。取り違えない。
- 標準偏差が変わると形も変わる。平均が同じでも標準偏差が大きいほど、分布は横に広がる。
- ±3σでも含まれる確率は100%にはならない。どの範囲でも100%は実現しない。
式
- 平均値±σの範囲に入る確率±1σ=約68.3%、±2σ=約95.4%、±3σ=約99.7%
正規分布の確率計算
正規分布の標準化と、標準正規分布表の値を使った不適合率(片側・両側)の求め方を扱う論点。
要点
- 標準化した値uは、測定値が平均から標準偏差何個分離れているかを表す。
- 平均μ=50、標準偏差σ=5で、x=60を標準化するとu=(60−50)/5=2になる。
- 平均より小さい側の値は符号がマイナスになる。μ=100、σ=10、x=85ならu=−1.5である。
- 上限規格に対応するuが1.96のとき、規格の外側の確率はそのまま片側の2.5%になる。
- 上限側2.5%と下限側2.5%を合計すると、いずれかの規格を外れる確率は5.0%になる。
- μ=60、σ=8、上限規格76ならu=(76−60)/8=2.0で、u=2.0以上の片側確率2.28%がそのまま不適合率になる。
- μ=100、σ=5、下限規格90ならu=(90−100)/5=−2.0で、下側の確率2.28%が不適合率になる。
ひっかけ
- 上限だけを問うときは、与えられた片側確率をそのまま使う。2倍したり1から引いたりしない。
- 上限・下限の両方を考えるなら両側を合計する。片側だけでは規格外れの確率を過小に見積もる。
- ±2σの範囲に入る確率95.4%と、片側の不適合率2.28%を混同しない。
- 下限側もuの符号がマイナスになるだけで、確率の求め方は上限側と同じである。
式
- 標準化u=(x−μ)/σ測定値が平均から標準偏差何個分離れているかを表す。
二項分布
二項分布の意味、平均np、標準偏差、確率計算(余事象を含む)を扱う論点。不適合品数など計数値の分布として出る。
要点
- 二項分布は、独立したn回の試行の中で、ある事象が起こる回数を表す離散分布である。
- 二項分布の平均はnpである。n=100、p=0.05なら、np=100×0.05=5個になる。
- 標準偏差は√(np(1−p))で求める。n=100、p=0.36なら√23.04=4.8である。
- n=5、p=0.1で不適合品が1個もない確率は、P(X=0)=(1−p)^n=0.9^5=0.59049で、約59.0%である。
- n=5、p=0.2でちょうど1個の確率は、5×0.2×0.4096=0.4096で、約41.0%である。
- n=4、p=0.1でちょうど2個の確率は、6×0.01×0.81=0.0486で、約4.9%である。
- 「少なくとも1個」の確率は、余事象を使って1−P(X=0)で求める。n=5、p=0.2なら1−0.32768=0.67232で、約67.2%である。
ひっかけ
- 組合せの数nCkを掛け忘れない。掛け忘れると、ちょうど1個の確率が8.2%のように小さくなりすぎる。
- 二項分布は計数値の分布で、計量値の分布ではない。分布の形はnとpで決まり、平均と標準偏差で決まる正規分布とは異なる。
- 標準偏差はnp(1−p)を計算してから平方根をとる。npをそのまま答えたり、平方根を忘れたりしない。
- 「少なくとも1個」の確率にP(X=0)そのものの32.8%を答えない。1から引いた67.2%が正しい。
- 長さや重さなど計量値のばらつきを表すのは正規分布で、二項分布は個数を数える計数値に使う。
式
- 二項分布の確率P(X=k)=nCk×p^k×(1−p)^(n−k)X=0のときはP(X=0)=(1−p)^nになる。
- 二項分布の平均平均=np
- 二項分布の標準偏差標準偏差=√(np(1−p))
- 余事象少なくとも1個の確率=1−P(X=0)
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出典と作り方
この読み物は、日本規格協会「品質管理検定レベル表」(Ver.20150130.2)の項目の順に、アプリ「QCウカール」の収録問題の解説をもとにアプリ製薬が作成したものです。公式の文章の転載ではありません。 問題文・選択肢は載せていません。
- 品質管理検定レベル表 3級(https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4609.pdf)
- 品質管理検定レベル表 4級(https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4610.pdf)