データの取り方・まとめ方(基本統計量)の要点とひっかけ(QC検定3級 論点テキスト)
QC検定3級の手法分野のうち、「データの取り方・まとめ方(基本統計量)」にあたる6論点を、要点36本・ひっかけ17本・式6本にまとめました。
最終更新:2026年10月4日
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このページの論点
データの種類・データの変換
データの種類(計量値・計数値)と、一次変換・対数変換の目的を扱う論点。測って得るか数えて得るかの区別が問われる。
要点
- 計量値は、長さ・重さ・時間のように連続量として測定されるデータである。
- 計数値は、不適合品数や欠点数のように個数を数えて得られる離散的なデータである。
- 製品の直径は測器で連続的に測るので計量値。不適合品の個数や不合格件数、クレーム件数は数えるので計数値である。
- 一次変換(コード化)は、桁数の大きい値を扱いやすい値に置き換えて計算を簡便にするために行う。
- 測定値50.1, 50.3, 49.8, 50.0, 50.2から50を引くと、コード化後の平均は50.08−50=0.08になる。
- 対数変換は、右に裾を引く対数正規分布のようなデータを正規分布に近づけ、通常の統計手法を使いやすくするために行う。
ひっかけ
- 温度・圧力・重量・時間は連続量なので計量値であり、計数値ではない。計数値は個数を数えたデータである。
- 一次変換は計算を楽にする工夫であり、母集団の変更や計量値から計数値への変換が目的ではない。
母集団とサンプル・ロット
母集団・サンプル・ロットの定義と、有限・無限母集団、全数検査とサンプリング検査の関係を扱う論点。
要点
- 母集団は、考察や対策の対象となる、データの源となる特性値全体の集まりである。
- サンプルは、母集団の性質を推測する目的で母集団から取り出された1つ以上の単位体である。
- ロットは、実質的に同一の条件下で生産され、1つのまとまりとして扱われる製品の集まりである。
- 継続的に生産が続き、構成する単位の数が定まらない工程の母集団は無限母集団。単位数が確定していれば有限母集団である。
- 破壊検査では全数検査をすると製品が残らないため、サンプリング検査が用いられる。
ひっかけ
- ロットと母集団を取り違えない。ロットは生産のまとまり、母集団は考察の対象全体である。
- 群(サブグループ)は母集団を指す語ではない。管理図などでデータをまとめて扱う小さな単位である。
- サンプリング検査でも全数検査と同じように誤りがなくなるわけではない。抜き取りの偏りによる誤りの可能性が常にある。
サンプリングと誤差
サンプリング誤差と測定誤差の区別、かたよりとばらつきの違い、ランダムサンプリングの目的を扱う論点。
要点
- サンプリング誤差は、サンプルを抜き取って調べることに起因する、母集団の真の値とサンプルの統計量との差である。
- 測定誤差は、測定器の精度・測定方法・測定者の技量差などで、測定値が真の値からずれることである。
- かたよりは測定値の平均と真の値との系統的な差、ばらつきは測定値どうしの散らばりの程度を表す。
- ランダムサンプリングは、母集団のすべての単位が等しい確率で抜き取られるようにして、偏りなく推定するために行う。
- 測定値のばらつきは、母集団内の単位間の違いによるサンプリング誤差と、測定そのものによる測定誤差に分けられる。
ひっかけ
- 校正不良・読み取りのくせ・転記ミスによる誤差はサンプリング誤差ではなく、測定誤差の範疇である。
- かたよりとばらつきは別の概念で、同じ意味ではない。かたよりは真の値とのずれ、ばらつきは散らばりである。
- ランダムサンプリングの目的は、検査時間の短縮や作業者の恣意的な選択ではなく、偏りのない推定である。
基本統計量:平均・メディアン・モード
データの中心を表す平均値・メディアン・モードの定義と、小さなデータでの計算を扱う論点。
要点
- 平均値は、すべてのデータの値を合計し、データの個数で割って求める代表値である。
- メディアン(中央値)は、データを大きさの順に並べたとき、中央に位置する値である。
- データ数が偶数のときは中央2つの平均をとる。11, 12, 14, 15, 16, 18なら(14+15)/2=14.5mmである。
- モードは最も出現頻度の高い値。3, 5, 5, 7, 10では5が2回出るので、モードは5である。
- 3, 5, 5, 7, 10の平均値は、合計30をデータ数5で割った6になる。
- 3, 5, 5, 7, 10のメディアンは、5個の中央すなわち3番目の値で5である。
- 重量48, 52, 50, 54, 46(g)の平均値は、合計250をデータ数5で割った50.0gである。
ひっかけ
- 平均値を求めるときにn−1で割らない。割る数はデータの個数である。
- 中央値と平均値を取り違えない。11, 12, 14, 15, 16, 18の中央値は14.5mmで、平均値は約14.3mmである。
- 5はメディアンやモードの値であって、3, 5, 5, 7, 10の平均値ではない。平均値は6である。
式
- 平均値平均値=合計÷データの個数n−1では割らない。
基本統計量:範囲・偏差平方和
ばらつきを表す範囲Rと偏差平方和の定義と計算を扱う論点。最大値−最小値、偏差の2乗の合計を押さえる。
要点
- 範囲Rは、データの最大値から最小値を引いた値で、ばらつきの大きさを簡便に表す指標である。
- 偏差平方和は、各データと平均値との差を2乗して合計した値である。
- 2, 4, 6, 8, 10では最大値10、最小値2なので、範囲Rは10−2=8になる。
- 2, 4, 6, 8, 10の偏差平方和は、偏差−4, −2, 0, 2, 4を2乗して合計した40である。
- 3, 5, 5, 7, 10は平均6、偏差−3, −1, −1, 1, 4を2乗して合計すると、偏差平方和は28になる。
- 硬度62, 58, 65, 60, 57の範囲Rは、最大値65から最小値57を引いた8である。
ひっかけ
- 最大値や最小値そのものを範囲と答えない。範囲は両者を引き算した値である。
- データの合計は偏差平方和ではない。3, 5, 5, 7, 10の合計30ではなく、偏差の2乗の合計28が偏差平方和である。
式
- 範囲RR=最大値−最小値
- 偏差平方和偏差平方和=(各データ−平均値)の2乗の合計
基本統計量:分散・標準偏差・変動係数
不偏分散・標準偏差・変動係数の定義と計算を扱う論点。n−1で割る理由と、計算の順序を守ることが問われる。
要点
- 不偏分散は、偏差平方和をデータ数nではなくn−1で割って求める。
- 平均値を使うと自由度が1つ失われ、nで割ると母分散より小さく偏る。n−1で割ると不偏推定量になる。
- 標準偏差は不偏分散の平方根である。2, 4, 6, 8, 10では不偏分散10の平方根で、約3.16になる。
- 変動係数は標準偏差を平均値で割った相対的なばらつきの指標で、平均値の水準が異なるデータの比較に使う。
- 2, 4, 6, 8, 10の変動係数は、標準偏差約3.16を平均値6で割った約0.53になる。
- 偏差平方和S=36、n=5なら、V=36/4=9、標準偏差s=√9=3.00になる。
- 平均20、標準偏差4の変動係数は、(4/20)×100=20.0%である。
ひっかけ
- nで割らない。3, 5, 5, 7, 10の不偏分散は28÷4=7で、5.6はnの5で割った誤った値である。
- 分散と標準偏差を取り違えない。標準偏差は分散の平方根で、250は分散、標準偏差は約15.8である。
- 変動係数は標準偏差÷平均値である。割る順を逆にすると約1.90のような誤った値になる。
- 変動係数を%で求めるときは100倍を忘れない。忘れると0.2%のような値になる。
式
- 不偏分散V=S/(n−1)Sは偏差平方和。nではなくn−1で割る。
- 標準偏差s=√V不偏分散の平方根をとる。
- 変動係数CV=(s/X)×100(%)単位の異なるデータ同士のばらつきの比較に使う。
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関連ページ
→ 3級の計算問題対策(電卓事情・頻出の式まとめ)
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出典と作り方
この読み物は、日本規格協会「品質管理検定レベル表」(Ver.20150130.2)の項目の順に、アプリ「QCウカール」の収録問題の解説をもとにアプリ製薬が作成したものです。公式の文章の転載ではありません。 問題文・選択肢は載せていません。
- 品質管理検定レベル表 3級(https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4609.pdf)
- 品質管理検定レベル表 4級(https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4610.pdf)